会場は元々空冷のワーゲンを中心として開催していたイベントだったが、2年前から合同開催となり特別編として53台を選抜、展示を行うことで現在に至っている。主催者は江戸崎街づくり協同組合。昭和のくるま大集合はバックヤードつくばで担当している。実際筆者も合同になる前の昭和のくるま大集合にも足を運んでいたが、その際には200台以上が参加する一大イベントであった。しかし、かつては来場者数1万人を越える数字を記録したことさえあったイベントもコロナ禍をきっかけに停止。その後再び声をかけられたのが一昨年であり、その際も参加車両を厳選した形で選抜した50台を並べることで会場を大いに盛り上げていた。しかし、残念なことに昨年は筆者はその動向を見続けることができず、今年はある意味雪辱的な思いでお邪魔させていただいた。1年間を空けて参加したイベントはさらに盛り上りを見せ、しかも一般見物の客まで多いようにすら思えた。これはどういう傾向だろうと考えていたのだが、幸いにも毎回参加をしている知人から話をうかがうことができた。それによれば昨年の同イベントで偶然あの電動バイクの旅をするスイカヘルメットの一団が来訪したのだと言う。そのTV放送の効果もあって今年の人出に繋がったのではということだった。 ここに出店のケータリング等は茨城県内の商店と基本的に限られている。それには地元の味やモノを知ってもらうと言う狙いもあり、長く続けてきた効果が見え始めているとも言えるだろう。茨城県は鉄道路線はお世辞にも充実しているとは言えない車社会である。それゆえ県や市の関係者もクルマに対して思い入れが強いのである。開会の挨拶でも市長が訪れるほどであり、考えてみれば商店街まるごと道路を一区画閉鎖してイベントを行うなどカーイベントではなかなかに難しいだろう。そのためには前日から会場隣接の商店街の方々が車両の移動をし、準備に協力を行ってくれている。事前段階からの協力体制を見ても稲敷市という町がクルマに対して優しいということがうかがい知れる。
ウルトラ警備隊 東に 今年もフェラーリ365GTBやトヨタ2000GTを筆頭にスーパーカーを始め様々な旧車が並んでいたが、なかでも別枠のスーパーなクルマがたたずんでいた。高齢者世代には覚えがあるであろうこのクルマ、言わずと知れたウルトラ警備隊の特殊車両ポインター号である。よく裏話的に撮影中よく壊れたとか様々な逸話が聞かれるが、実際にはそうでもなかったのではないかという。こちらは撮影当時の車両ではなくベースを含めての全くの複製品であるが、オーナーによれば撮影当時の車両を管理する側がoil等を含め知識の無さから管理が悪くトラブルのもとになったと考えられるという。たしかに本編を見ても意外に撮影場所は多岐にわたり、このクルマは撮影で遠出をしていたことを考えると確かに噂ほどではないのかもしれない。なによりオーナーがこのクルマであちこち走り回っていることを考えればそこまでではないなによりの裏付けになっている。
余談だがこのクルマのミニカーをエブロというミニカーメーカーにBANDAIが製作依頼をしたことがあったそうだが、その際にエブロ側から「このクルマのデザインは破綻している。二度とやりたくない」と言われたのだとか。筆者世代の憧れになんということをとも思えるが、これもオーナー氏からお聞きしたある意味逸話である。 鏡あわせのツェンダップ このバブルカーが会場入りしたとき、多くの来場者はどよめいていた。これはなに?どっちが前?これはドイツのバブルカー「ツエンダップ=ヤヌス」その名の通りギリシャ神話のヤヌスから取られた名前であり、前後同じの顔をしたクルマである。その事もあり筆者もオーナーに最初にうかがった質問は「これ、エンジンどこですか?」だった。オーナーも馴れたものでよく聞かれる質問だとのこと。正解は背中合わせのシートの真ん中だ。その事もあり整備性は極めてよろしくないとのことだ。街起こしやイベントには積極的にこのクルマを参加させているが、基本積車で移動している。自走も不可能ではないが、リスクと時間がかかりすぎて現実的ではないからだそうだ。とはいえ西に東に大忙しなようでさすがにお疲れのようだった。本人はクルマを聞かれるとツードアミッドシップのクルマに乗っていると話しているとか。
走れスターレット43万kmのモニュメント 5ドアの極めて実用的なスターレット。しかしながらその走行距離は実に43万㎞である。現在までに2度のエンジンのオバーホールを行い現在も足として走り続けている。オーナーは過去にはシトロエンAXも所有していたが、少し前にこちらを手放して1台に集約するようにしたという。驚くのはAXの方も20万㎞越えで手放しているというツワモノだ。小型ハッチバックの楽しさを知るオーナーはどちらかを手放さなければいけない状況で、あえて距離の出ているスターレットを残す選択をしたのはこだわりのエンジンからのようだ。チューニングとセッティングをS耐で知られる浅野武夫氏の手により手掛けられている。特別な心臓を持つスターレットはまたオーナーにとっても格別の思い入れがあるのだろう。ワンオーナーカーである同車両は、最初のオーバーホールの時には90年代でありネットもろくにない時代、雑誌の売ります買いますコーナーを首っ引きで見ながら連絡を取って部品集めに奔走していたそうだ。今となってはもう工場の方でもわかっていて、あらかじめある程度の部品をストックしてくれている。そのこともあり当時よりもある意味楽をさせてもらっているという。
白黒のツートンカラー、最後のポルシェ 本部前に鎮座していたポルシェ912、パトカー仕様となっておりますがれっきとした本物。1968年に就役して1973年に退役するまで実に5年間取り締まりに従事していた車両でした。本来パトカーは退役すると基本廃車として完全に解体されるのですが、貴重な車両であったことから警察学校にて長く保管、その後解体に出されたことから現オーナーが粘り強く交渉の末今に至っている。そのため走行にはさまざまな制約があり、走行時は文字や赤色灯にマスクを掛ける等行って公道に出ているという。
うっかりな受賞 昭和のくるま大集合には取材関係者が幾人かが訪れており、そうした関係者やゲストから選考された1台が選ばれて特別賞として表彰される。ありがたいことに筆者もその一人に抜擢され「きもだこよし賞」として選考させていただいた。映えある1台として選ばせていただいたのがこちらのいすゞベレットGTだ。ごく初期型である同モデルは、多くがよく知る4灯ライトのモデルではなく2灯式の物。ごく初期の1年くらいだけ生産されたモデルで希少な1台となっている。これは横聴きした話ではあるが、いすゞプラザにも車両が無いということで、いすゞ側でもこのモデルは機会があれば譲ってほしいと思っているとのことだ。 そんな面白そうな話があることもあって選ばせていただいた1台。その場で書かせていただいた色紙を賞として送らせてもらいました。しかし、ここで思わぬセリフが聞こえて来まして、なんと前回も同様に自動車ライターの方が選んでいた1台だったという。受賞者も去年も受賞したのにいいの?と半ば困惑気味に受けた受賞で、筆者のうっかりぶりが露呈した一件でした。
車両も主催者も70周年を向かえた 江戸崎商店街はかつて日曜日にでもなれば人っ子一人通る印象の無い商店街だったという。それが町おこしの一環として今年で9回にわたる空冷ワーゲンのイベントで育っていき、昭和のくるまがさらに加わり3年。人の流れは増えていっているように思われる。主催者である石川氏は今年で70歳になるといい、自身の所有車両であるクラウンもシリーズ製造から70周年向かえるに当たり、歴代で並べたいと考えていた。その甲斐もあり今年は参加車両が5台。内初代から4代目までと6代目が並ぶ展示が出来た。奇しくも今回は昭和換算で100年になりさまざまな記念となるイベントとなった。可能な限り車種違いで揃えるために過去の参加者(コロナ禍以前を含む)を中心にひとり一人に連絡をいれてまわった。
そんな参加車両は例年必ず諸事情や車両トラブルで直前で不参加になるクルマやオーナーが出るのに、今年は1台も欠けることなく参加してくれた。それがうれしいと筆者に語ってくれていた。来年はshow your VW’s meetの10回記念、また笑顔で開催出来たらと思っている。祝い祝われ幕を閉じた昭和のくるま大集合。これからも稲敷市と江戸崎商店街に賑わいを見せてくれるだろう。